パキスタン インダス川の岩絵
パキスタン ギルギットバルチスタン州 チラス
パキスタンは今でこそイスラム教の国だが、そのイスラム教が繁栄を迎える前、そこには多くの仏教国が存在していた。仏像というものが生まれたのも、ガンダーラ一帯、今でいうパキスタンのペシャワールあたりだった。 フンザからインダス川に沿ってカラコルムハイウェイを下る。多くの旅人が素通りしてしまうその一帯は、1000年以上前の行商人たちが書いたであろう岩絵の宝庫なのだ。 岩に描かれたものはやはり仏教に関連したものが多い。ブッダや仏塔、祈りの様子など、当時の信仰の厚さがひしひしと伝わってくる。その他にもアイベックスなどの動物が描かれたものもあれば、ソグド文字やカロシュティ文字、アラム文字などが刻まれているものもある。 かつての交易路の中でも中継地点となるような、人が多く集まった場所には必ず岩絵が描かれている。そんな美しい岩絵も、パキスタンの発展と共に消えつつある。カラコルムハイウェイ沿いでは、中国企業の協力のもとダム建設が進められていた。今回見た多くの岩絵は、2027年までにそのダムに沈んでしまうという。 かつての人々の息遣いを現世に伝えるこの岩絵が少しでも移設され保存されることを願っている。